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神々は、ホメーロスがうたっているところでは、オリュンポスの高山に宮敷居まし、山頂の宮殿にあって、絶えることのない饗宴で日々を過ごしているとされています。神々は常磐に居ます、すなわち不死で、神食(アンブロシア)を食べ、神酒(ネクタル)を飲んでいるとされています。ゼウスの王権の元、世界の秩序の一部をそれぞれ管掌するこれらの神々は、オリュンポスの神々とも呼ばれ、その主要な神は古くから「十二の神」(オリュンポス十二神)として人々に把握されていました。十二の神は二つの世代に分かれ、クロノスとレアーの息子・娘に当たる第一世代の神々と、ゼウスの息子・娘に当たる第二世代の神々がいます。
時代と地方、伝承によって、幾分かの違いがありますが、主要な十二の神は、第一世代の神、秩序(コスモス)の象徴でもある神々の父ゼウス、ヘーラー女神、ポセイドーン、デーメーテール女神、ヘスティアー女神の5柱に、第二世代の神として、アポローン、アレース、ヘルメース、ヘーパイストス、アテーナー女神、アプロディーテー女神、アルテミス女神の7柱です。また、ときとしてヘスティアーの代わりに、ディオニューソスが十二神に入ります。ハーデースとその后ペルセポネーは、地下(クトニオス)の神とされ、オリュンポスの神ではありませんが、主要な神として、十二神のなかに数えることがあります。
それぞれの神は、崇拝の根拠地を持つのが普通で、また神々の習合が起こっているとき、広範囲な地方の神々を取り込んだ神は、数多くの崇拝の根拠地を持つことにもなります。
時代と地方、伝承によって、幾分かの違いがありますが、主要な十二の神は、第一世代の神、秩序(コスモス)の象徴でもある神々の父ゼウス、ヘーラー女神、ポセイドーン、デーメーテール女神、ヘスティアー女神の5柱に、第二世代の神として、アポローン、アレース、ヘルメース、ヘーパイストス、アテーナー女神、アプロディーテー女神、アルテミス女神の7柱です。また、ときとしてヘスティアーの代わりに、ディオニューソスが十二神に入ります。ハーデースとその后ペルセポネーは、地下(クトニオス)の神とされ、オリュンポスの神ではありませんが、主要な神として、十二神のなかに数えることがあります。
それぞれの神は、崇拝の根拠地を持つのが普通で、また神々の習合が起こっているとき、広範囲な地方の神々を取り込んだ神は、数多くの崇拝の根拠地を持つことにもなります。
ゼウスの王権が確立し、やがてオリュンポス十二神としてコスモス(秩序)が世界に成立していきます。しかし、ゼウスの王権の確立は紆余曲折しており、ゼウスは神々の王朝の第三代の王であります。最初に星鏤めるウーラノス(天)がガイア(大地)の夫であり、原初の神々の父であり、神々の王でありました。しかし、ガイアはウーラノスに恨みを持っていました。ウーラノスの末息子であるクロノスがガイアの使嗾によって巨大な鎌を揮って父親の男根を切り落とし、その王権を簒奪したとされています。このことはヘーシオドスがすでに記述していることであり、先代の王者の去勢による王権の簒奪は神話としては珍しいのです。これはヒッタイトのフルリ人の神話に類例が見いだされ、この神話の影響があるとも考えられています。
ウーラノスより世界の支配権を奪ったクロノスは、第二代の王権を持つことになります。クロノスはウーラノスとガイアが生んだ子供たちのなかの末弟であり、彼の兄と姉に当たる神々は、クロノスの王権の元で、世界を支配・管掌する神々となります。とはいえ、この時代にはまだ、神々の役割分担は明確でありませんでした。クロノスの兄弟姉妹たちはティーターンの神々と呼ばれ、オリュンポスの十二の神に似て、主要な神々は「ティーターンの十二の神」と呼ばれています。これらのティーターンの十二の神としては、通常、次の神々が挙げられます。まず主神たるクロノス、その妻であるレアー女神、長子オーケアノス、コイオス、ヒュペリーオーン、クレイオス、イーアペトス、テーテュース女神、テミス女神(法)、ムネーモシュネー女神(記憶)、ポイベー女神、テイアー女神です。アポロドーロスはディオーネー女神をクロノスの姉妹に挙げていますが、この名はゼウスの女性形であり、女神の性格には諸説があります。ティーターンはこれ以外にも、子孫が多数存在しました。後にティーターンはオリュンポス神族に敗れ、タルタロスに落とされますが、全員が罰を受けた訳ではありません。ティーターンの一族には、イーアペトスの子であるアトラース、プロメーテウス、エピメーテウスや、ヒュペリーオーンの子であるエーオース(暁)、セレーネー(月)、ヘーリオス(太陽)などがいました。神々の王クロノスはしかし、母ガイアと父ウーラノスから呪いの予言を受けます。クロノス自身も、やがて王権をその息子に簒奪されるだろうというもので、クロノスはこれを懼れて、レアーとのあいだに生まれてくる子供をすべて飲み込みます。レアーはこれに怒り、末子ゼウスを身籠もったとき、密かにゼウスを出産し、石を襁褓にくるんでこれをクロノスに渡しました。
ゼウスが成年に達すると、彼は父親クロノスに叛旗を翻し、まずクロノスに薬を飲ませ、彼が飲み込んでいたゼウスの姉や兄たちを吐き出させます。クロノスは、ヘスティアー、デーメーテール、ヘーラーの三女神、そして次にプルートーン(ハーデース)とポセイドーン、そしてゼウスの身代わりの石を飲み込んでいたので、順序を逆にしてこれらの石と神々を吐き出しました。
ゼウスたち兄弟姉妹は力を合わせてクロノスとその兄弟姉妹たち、すなわちティーターンの一族と戦争を行いました。これをティーターノマキアー(ティーターンの戦争)と呼びます。彼らはティーターネスに勝利し、ティーターン族をタルタロスに幽閉し、百腕巨人(ヘカトンケイレス)を番人としました。こうして勝利したゼウスたちは互いに籤を引き、その結果、ゼウスは天空を、ポセイドーンは海洋を、ハーデースは冥府をその支配領域として得ました。しかしゲー(ガイア)はティーターンをゼウスたちが幽閉したことに怒り、ウーラノス(天空)と交わり、ギガース(巨人)たちを生み出します。ギガースたち(ギガンテス)は巨大な体と獰猛な気性を備え、彼らは大挙してゼウスたちの一族に戦いを挑みました。ゼウスたちは苦戦しますが、シシリー島をギガースの上に投げおろすなど、激しい争いの末にこれを打破したのです。これらの戦いをギガントマキアー(巨人の戦争)と呼称します。しかし、ゲーはなお諦めず、更に怒ってタルタロスと交わり、怪物テューポーンを生み出しまし。テューポーンは一時、ゼウスを捕虜にするなど、圧倒的な強さを誇っていましたが、オリュンポス神族の連携によって遂に敗北し滅ぼされました。
かくして、ゼウスの王権はここに確立したのです。
古代ギリシア人は世界の始まりについて、他の民族と同様、それは原初の時代より存在したものであるとの素朴な思考を持っていました。しかし、ゼウスを主神とするコスモスの観念が成立するにつれ、おのずと哲学的な構想を持つ世界の始原神話が語られるようになりました。それらは代表的に四種類のものが知られています。神々の系譜や人間の起源などを系統的な神話に纏めあげたヘーシオドスは、その『神統記』において二つの主要な起源説を伝えています。ヘーシオドスは古代オリエントなどの神話の影響を受けたと考えられ、後に「混沌」と解釈されるカオスが最初に存在したとしています。世界が存在するためには、最初に場所『コーラー』が必要であり、ここから空隙としてのカオスが最初にあったとしています。その後、大地(ガイア)が万物の初源としてカオスのなかに存在を現し、天『ウーラノス』との交わりによって様々な神々を生み出したとされています。ウーラノス、クロノス、そしてゼウスにわたる三代の王権の遷移がここでは語られることにななります。
その一方で、ヘーシオドスは、起源が異なると考えられています、自然哲学的構想を備えた世界の始源神話を同じ『神統記』においてうたっています。胸広きガイアが存在し、それと共に、地下の幽冥タルタロスと何よりも美しいエロース(愛)が生まれたとしています。原初にエロースが生まれたとするのは、オルペウス教の始原神話に通じています。エロースは生殖にあって大きな役割を果たし、それ故、愛が最初に存在したとしています。
第三の宇宙観は哲学的・宗教的に体系化されていたと考えられていますが、オルペウス教が基盤を置いた、あるいはこの宗教が提唱した世界の初源神話です。オルペウス教は多様な神話を持っており、断片的な複数の文書が伝える内容は異同があります。その特徴としては、原初に水や泥があり、大地(ガイア)も存在し、クロノス=時やエロースが原初にありました。そして「原初の卵」が語られ、他のギリシア神話では語られない、パネース(Φανης)あるいはプロートゴノス(Πρωτογονος)が存在したとしています。
そして、第四のものとして、ホメーロスが『イーリアス』でうたっている、より古く単純とも言える始原についての神話があります。それは万物のはじめにオーケアノスが存在したという神話で、彼と共に妻テーテュースが存在したとされています。この両神の交わりより、多数の神や世界の要素が生み出されて来たとしています。これは素朴な神話で、海岸部の住民が信じていた始原神話と考えられています。

